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【要注意】虫歯じゃないのに歯が溶ける!? 現代人が気をつけたい「酸蝕症」の真実

皆さん、「酸蝕症」という言葉をご存知ですか?これは、虫歯とは違い、私たちが口にする「酸」の力で、硬いはずの歯の表面が少しずつ溶けてしまう病気です。

気づかないうちに進行していることも多く、実は現代の食生活と深い関わりがある、とても身近なトラブルなんです。/

酸蝕症って、どういう病気なの?

歯の一番外側にあるエナメル質は、体の中で最も硬い組織です。しかし、酸に触れるとこの硬い歯も溶け始めてしまいます。

  • 虫歯細菌が食べかすの糖を分解して出す酸で、歯の一部に穴があく病気。
  • 酸蝕症細菌とは関係なく、飲食物や胃酸に含まれる酸で、歯の広範囲が溶けてしまう病気。

お口の中は普段は「中性」で守られていますが、酸性のものを口にすると「酸性」に傾き、歯が溶けやすくなります。唾液が頑張って「中性」に戻し、溶けた歯を修復しようとしますが、酸に触れる回数が多すぎると、修復が追いつかなくなってしまうのです。

何が原因で歯は溶けるの?

原因は大きく分けて「外側(飲食物など)」と「内側(体の中)」の2つがあります。

1. 外側からの「酸」の攻撃(食習慣が原因)

健康に良さそうなものや、身近な飲み物にも「酸」は多く含まれています。

危険な飲み物・食べ物 要注意の習慣
炭酸飲料、スポーツドリンク、エナジードリンク 歯が溶ける原因の代表格です。
柑橘系ジュース(特に100%) ビタミンが豊富でも酸が強いです。
ワイン、ビール アルコールも酸性度が高いです。
お酢ドリンク、黒酢 健康のために飲んでも歯には負担になることがあります。
レモン、梅干し、酢の物 酸っぱい食品を頻繁に食べる。
要注意な習慣 **「だらだら飲み・食べ」**をすること(酸に触れる時間が長くなる)

2. 内側からの「酸」の攻撃(体の不調が原因)

体の中で作られる「胃酸」は、非常に強力な酸です。これが逆流すると、歯に深刻なダメージを与えます。

  • 逆流性食道炎:胃酸が食道の上がってきて、口の中まで達してしまう。
  • 嘔吐の習慣:体調不良や摂食障害などにより、頻繁に嘔吐することで胃酸が歯に触れる。

どんな症状が出たら要注意?

酸蝕症は、虫歯のような激しい痛みがなく、静かに進行するのが特徴です。こんな症状に心当たりはありませんか?

  • 冷たいものや甘いものがしみる(知覚過敏)
  • 歯の先端が透けて見える、またはギザギザになったり、丸みを帯びたりしてきた
  • 歯全体が黄色っぽく見えてきた(エナメル質が薄くなり、中の黄色い層が透けている状態)
  • 歯の表面のツヤがなくなり、光沢が失われた
  • 奥歯の噛み合わせの面が平らになったり、へこんだりしている

大切な歯を守るための3つの対策

一度溶けてしまった歯は元には戻りません。毎日の生活で少し工夫をするだけで、酸蝕症を防ぐことができます。

1. 飲み方・食べ方を工夫する

  • 「だらだら飲み」をやめる:酸性の飲み物を飲むときは、時間を決め、少しずつ飲むのを避けましょう。
  • ストローを使う:炭酸飲料などを飲むときは、ストローを使い、歯に触れる時間を減らすのがおすすめです。
  • 食後の「うがい」習慣:酸性のものを口にした後、すぐに水や中性のお茶で口をゆすぐことで、酸を洗い流します。

2. 歯磨きのタイミングに注意する

  • すぐに磨かない:酸に触れた直後の歯は一時的に弱くなっています。すぐに歯磨きをすると、歯ブラシで歯を削ってしまうことになりかねません。
  • 食後30分〜1時間待つ:水でゆすいだ後、30分〜1時間ほど時間をおき、唾液が酸を中和するのを待ってから歯磨きをしましょう。
  • フッ素を活用:フッ素入りの歯磨き粉を使い、歯を強くする力をサポートしましょう。

3. 体からの酸を防ぐ

  • 夜の飲食を控える:寝ている間は唾液が減るので、寝る前に酸性のものを摂るのは控えましょう。
  • 胃の治療をする:逆流性食道炎など、胃酸の逆流が原因の場合は、まず内科を受診して胃の治療を優先することが、歯を守る一番の対策になります。

酸蝕症は、予防と早期発見がとても大切です。気になる症状がある方、日頃から酸っぱいものをよく口にする方は、ぜひ一度、歯科医院でチェックを受けてみましょう!